043915 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

緑の牧場キリスト教会

緑の牧場キリスト教会

A姉の証し文


A姉(30代)の証し文です。
分かち合える恵みを感謝します。


________________________________


私 の 神 様
                


 先日 「鬼哭」(乃南アサ著) という小説を読みました。
 主人公は40代の男性。ある日突然 思いがけない形で自らの死を迎えることになります。
 その死のまさに直前の3分間。主人公の心理を秒刻みで描写するという興味深いストーリーでした。
 彼の人生はありきたりで、地味で、そして敗北の連続でした。
 それを振り返りながら言い訳を繰り返す彼。
 「だからまだ死ぬわけにはいかないのだ・・・」 
 突然の死を受け入れることができません。
 「俺の人生はこれからなのだから」


 読み終わってから何日もこの小説が頭から離れませんでした。主人公を自分に置き換える気持ちが強かったからです。
 「私は死ぬ時どんな風に人生を振り返るのだろう」
 なんだかみじめな気持ちがこみ上げて来ました。見栄っ張りで支配的で調子が良いだけの私。
 こんな薄っぺらな人生を私はきっと悔やむだろう。
 「死ぬわけには行かない」 そう思うだろう…

 実はこれは私の得意な「自己否定」のゲームなのです。
 私はいつもこうして自分を叩きのめすことで自分を保っているのです。
 それはとても辛く不愉快な作業ですが、止めたくても止めることができない厄介なものなのです。
 ところがある日、それに大きな変化が起こりました。
 私の中から全く別の声が聞こえて来たのです。


 「あなたはとても素晴らしいよ。そうやって自分を否定するのは一生懸命に生きているからだよ。」
 このような肯定的なことを無意識に自分に言い聞かせたのは初めてのことでした。
 「あなたはとても頑張っている。」その声はまた言いました。

 「真面目で前向きだ。」

 「私はすごく意地悪なの。」

 「とんでもない、誰よりも優しいよ。」


 「わがままで自己中心だし・・・」

 「熱心で献身的だ。」


 「怠け者でつぶやいてばかり・・・」

 「翌日までつぶやいていたことがないよね。」


 「好き嫌いがはっきりしていて・・・」

 「嫌いなものも好きになろうと努力している。」


 「誰からもよく思われたいの」

 「人の良い所を見つけて上げることが上手だね」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 どうしたというのでしょう。
 その日の私は自分にやけに優しかったのです。
 そしてその優しいささやきはそれからもずっと続いたのでした。何かが私の中で大きく崩れたようでした。
 そしてその日から私の描く神様像もまったく変わってしまったのです。
 私にとって神は恐れの対象でした。
 見上げるべき方、平伏すべき方、遠くから拝すことしか出来ない聖いお方、そのような存在だったのです。
 そしてそんな立派な方が私などを認めるはずがない。


 「このままではきっと私は地獄に落ちる。なんとかしなくては… なんとかしなくては…」 
 ずっとそんなことを思っていました。
 ところが、です。神様は急に私のお近くにいらっしゃいました。
 ふわりと降りてこられたのです。


 「Aちゃん、大好き。今のままのAちゃんが全部大好きだよ。」

 神様は私を抱きしめてそう言って下さる方になりました。
 「どんな時もずっと一緒にいてAちゃんを守るよ。決して離れない。」
 「神様 どうして急に優しくなったの?いつも怒っていたのに・・・」
 「怒ったことなど一度もないよ。あなたがわからなかっただけだよ。
 たくさんの素晴らしいものをあなたに備えてある。
 今までもそしてこれからも。
 思い出して。あの時もあの時も・・・。ずっとAちゃんの手を握っていたんだ。
 気付いてくれるのを待っていたんだよ。
 ずっとずっと前から待っていたんだよ。」


 
    わが愛する者、美しい人よ。
    さあ立って出ておいで。
    ほら、冬は過ぎ去り、大雨も通り過ぎて行った。
                      (雅歌2:10)



 私の心に何が起こったのか私にはよくわかりません。
 聖霊様が働きかけて下さったのかもしれません。
 とにかく、今私は不思議なほど平安で満ち足りた気持ちなのです。




© Rakuten Group, Inc.